もぐらフィンランド記

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フィンランドで見た地球影とビーナスベルト|薄明が生む空の層

2月の夕方、オウルの湖畔を歩いていると、空にきれいなグラデーションが広がっていました。

冬の薄明がつくり出す空の層です。

オウルの湖で見た空

2月末、家の近くの湖に行きました。
日没は17時30分で、私が着いたのは17時45分。日没直後です。

西の空、太陽が沈む地平線付近はオレンジ色に染まっています。

反対側の東の空には、美しい色の層がありました。

地平線近くは青緑色、その上には柔らかいピンクの帯が見えます。

右上に見えているのは月です。

青緑色の部分は、宇宙へ伸びる地球の影。

ピンク色の帯はビーナスベルトです。

 

冬の間、オウルの湖は凍りますが、2月末になると少しずつ溶け始め、この湖ではわずかに水面が出ていました。

湖面からは薄い蒸気霧が立ち上がっています。

蒸気霧とは、冷たい大気が水面に触れることで、水面付近の水蒸気が急激に冷やされ、水滴となって霧のように見える現象です。

当時の気温は約マイナス5℃でした。
霧の上に広がる地球影とビーナスベルトは、非現実的で幻想的に見えます。

地球影、ビーナスベルトとは

地球影

地球影は、地球が太陽の光を遮ってできる大気中の影です。

地球の影が大気に落ちると、太陽光が届かない部分が暗くなり、明るい空との境目ができます。

日没の頃は、その境目が地平線とほぼ重なります。
その後、太陽がさらに地平線の下に沈むにつれて、青緑色の帯はゆっくり上に広がり、境目は徐々にぼやけて夜空に溶けていきます。

地球影の青さは、ブルーアワー(空が深い青色に染まる時間)の青とは少し違います。
私の目には、少し緑がかった青色に見え、上のピンク色のビーナスベルトとのコントラストがより鮮やかに感じられました。

ビーナスベルト

地球影の上にできるピンク色の帯がビーナスベルトです。

太陽が地平線のすぐ下にあるとき、太陽の赤い光が大気を通って反対側の空に届きます。

その光が上空の青い光と混ざることで、柔らかいピンク色の帯に見えます。

見られる時間帯

地球影とビーナスベルトは、「薄明」の時間に見られます。

薄明とは、日の出直前・日没直後の昼と夜の境界線にあたる時間帯のことです。

フィンランド北部では、太陽が浅い角度でゆっくり沈むので、薄明の時間が長めです。
しかし、それでも地球影とビーナスベルトが見られるのは僅かな時間です。

湖で撮った写真を見ると、17時45分にはもう地球影とビーナスベルトが出ていて、10分後には境目が薄れて空全体が濃い青になりました。ブルーアワーです。

17時45分

17時47分

17時50分

17時52分

17時55分

見られる条件

地球影とビーナスベルトが見られる条件は次の通りです。

  • 太陽の反対側の空(日没時は東、日の出時は西)
  • 晴れている
  • 視界が開けている
  • 空気が澄んでいる

以下は11月下旬、日没時刻が14:40頃だった日の、日没約30分後の空です。

視界が開けていない場所のため地球影は分かりにくいものの、日没から30分ほど経っても空はまだ明るく、ビーナスベルトの現象も長く続いているように見えました。

太陽がより低い角度で沈む時期ほど、現象はより長く観察できることが分かります。

条件が揃えば、日本でも地球影やビーナスベルトを観察できます。

フィンランド北部では、空気が冷たく乾燥していて透明度が高く、太陽が低い角度で沈むため、色のコントラストがより鮮やかに見えやすいようです。

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